ちゅる旅!

ちゅる旅!

アジアを旅する新米バックパッカーが旅するときに欲しかった情報を自分で書いてみた。

ドリアンになりたくて

ドリアンはさすがに果物の王様。
お土産物にドリアンチョコがよく売っているのだが、チョコになっても臭いがすごい。
もちろん、生のものだともっとすごい。袋から染み出して冷蔵庫中に充満する。
けれどそれを上回る美味しさ。
クリーミーで甘い独特の風味がねっとりと口の中に広がる。臭いまでも美味しい。
そんなドリアンを食べていたら、大学でお世話になった先生の言葉を思い出した。
『光る人材はどこにいても光る』


熟したドリアンがすぐにそこに在ることが分かるように、優れた人材は、例え埋もれていてもきっと誰かが見つけ出せるものなのだろう。
それは出自や性別や年齢や環境に関係などないと、夢をみたい。


30年以上前のことを昨日のことのように怒れるエネルギー溢れる先生は、毎年同じものを配るらしいプリントを配ってこう言っていた。
「こんな大学に来るつもりじゃなかった、そんなくだらないことを言う奴が多い。けれど『光る人材はどこにいても光る』のだ。
学名で己が決まる訳じゃない。光る人材になれ。そのために、くだらないことを言ってないで、大学に来たからにはしっかりと勉強しろ」
大学に入って最初に受けた授業。
こんな人がいるのかと驚いた。しみじみと心に沁みた。


ドリアンもどこに在ったって分かるなぁと、ドリアンを食べながら考えた。
いやでも分かる。
市場を歩いていても、どこで売っているのかはっきりと分かる。
果物の王様。


私はドリアンになりたい。熟したドリアンに。
どこにいても意識される、市場に並ぶ数多の品物の中から確実に見つけ出される、そんなドリアンになりたい。
臭いで嫌われることもあるかもしれない。硬い殻と棘に怯えられることもあるかもしれない。

それでも、人を惹きつけてやまない味わいを硬い殻の中に用意したい。